根津のお稽古場には、稽古場オーナーさんの所有の、
美しい日本人形が飾られています。
ガラスケースの中に、久月作「道成寺」と書いてあります。
お稽古場に入ると、一番にその人形の前に座り、
眺めるのが、習慣になってしまいました。
半世紀以上も前の人形です。
顔も現代の日本人形の顔と違います。
古風な中に品があり、ポーズもまたいい。
衣裳の色合いや、製裁も凝っています。
とにかく、素晴らしいんです。
だから余計、つい見入ってしまいます。飽きないのです。
道成寺は、その演目・衣裳・曲・演奏、どれをとってみても、
日本舞踊の作品の最高峰の一つなので、
日本人形の代表各になるのも、当然と言えば、当然でしょう。
でも、この人形には、特別な魅力を感じてしまいます。
実際には、お化粧をし、衣裳を付け、
「さぁ、舞台へ」と向かう、その直前に、
かつらをつけてもらいます。
この人形を見ていると、
あの時の内面の心の定まり、心持ちを思い出します。
そして、改めて自分の未熟さ故の、更なる向上を願うのです。
技術的には勿論、精神的にも成長をしていきたい、と切に思っています。
日本舞踊紫派藤間流 藤間紫希波
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