絵日傘のこと
日本舞踊の小道具に絵日傘(えひがさ)があります。

私が幼い頃に、日本舞踊でこの絵日傘を使ったのは、
その名の通り「絵日傘」という曲名の童謡で踊った時でした。
童謡といっても、笛や琴などの和楽器で演奏した仕上がりなので、
女の子が着物を着て踊るには、華やかで可愛らしい、とてもいい曲です。
そして、その時に覚えた振りは、今でも忘れていないので、
それを現在子供たちに教えています。本当に不思議なものです。
しかし、
最近の童謡のCDでは、和楽器を使った曲は、ほとんど見つからず、
なかなか苦労しています。
ですので、
この「絵日傘」は、私の幼い時に聞いていた、
全く同じ唄い手の声で、記憶そのものの音源を使っています。
つまり、それ以降の録音がない、貴重な音源ということです。
当然モノラル。何十年前の音源なのかわかりません。
それでも、
私は「和楽器の演奏の曲」にこだわっています。
普段は聞く機会がなく、
耳慣れない邦楽だからこそ、
小さい時に接しておいて欲しいと思っているのです。
曲は古いまま、を使っていますが、
小道具としての絵日傘も、変わりました。
すでに、日本で作られるものは、ほとんど手に入りません。

こちらは日本製で、子供用に持ち手が短いもの(今や貴重です)
作り手がいないし、傘自体を販売している店も減りました。
小道具の傘と、お土産用の傘でも微妙に違います。
残念ですが、時代の流れには逆らえないという事ですね。

現在、日本舞踊のお稽古で使っている子供用の絵日傘は、とってもカラフルです。
クルクル回すと楽しい傘で、この柄が一番人気です。
また和傘は、ワンタッチはありませんので、
子供達にとっては、
傘を広げる作業も、新鮮で楽しいようです。

他にも、いろいろな傘がありますが、またの機会に・・・
日本舞踊紫派藤間流 藤間紫希波