紫派藤間流の舞踊会では、
私は、
長唄 高尾さんげ
を踊らせて頂きました。
「高尾さんげ」について
不思議や紅葉の影添いて 塚の後ろにすごすごと
高尾が姿あらわれて
紅葉ばの 青葉に茂る夏木立
この長唄の曲に合わせて、生い茂った紅葉の木の後ろから
傾城高尾太夫の亡霊が、現世に姿を現わします。
四季の移り変わりと共に、憂き勤めの身の上話になり、
過ぎし昔の遊女づとめの様々な辛さ、悲しさ、苦しさを訴え、
華やかに見える廓の無常を語っていきます。
やがて、煩悩の果てに地獄の責め苦にあい、
懺悔しながら、終わります。
しかも、成仏できず、
奈落に落ちていく・・。
という物語です。
「高尾懺悔」と書いて「高尾さんげ」と読みます。
初演は、1744年江戸市村座の春狂言、「七種若曽我(ななくさわかやぎそが)」の三番目に上演された、と記してあります。
全体的に沈んだ陰気な作品ですが、
高尾は松の位の太夫なので、
品格と貫禄、
華やかさを持ち合わせています。
なんとも、儚い、そして難しい舞踊です。
舞踊や邦楽の分類には、
「石橋もの」
「道成寺もの」
「浅間もの」などの分け方がありますが、
「髙尾さんげ」は「浅間もの」に近いのですが、
後に高尾の付く作品へと発展していったので、
「高尾もの」として独立していきます。
日本舞踊紫派藤間流 藤間紫希波
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